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美唄市・オトナリハウス卒業イベントレポート|日常の延長線上にある特別な2日間

2026年10月29日

10月17日・18日の2日間、北海道美唄市の「オトナリハウス」で開かれた卒業イベントに参加しました。オトナリハウスは、地域おこし協力隊として美唄に移住した尾崎心音さんが、5年間続けてきた場所です。今月末で閉じることになり、以前インタビュー記事でお話を聞いたご縁から、声をかけてもらいました。

オトナリハウス卒業イベント、幸楽での宴会の集合写真
幸楽での宴会にて

空が近い町、美唄

正直に書くと、行く前は不安でした。誘ってもらったとき、つい「行きます」と言ってしまったものの、締めくくりの大切な日に、はじめての私がお邪魔していいのだろうか、と。

特急ライラックで美唄駅に降りて感じたのは、空気のきれいさでした。天気は晴れ。秋の北海道らしい、少しひんやりして澄んだ風。高い建物がなく、視界をさえぎるものがないからか、空がとても近くにありました。空との距離が近いだけで、気持ちがすっと落ち着くことに驚きました。

薪ストーブのある部屋

はじめて入ったオトナリハウスは、人も、空気も、部屋に置かれているものも、全部が「やさしい場所」でした。はじめましての私を特別扱いするでもなく、ただ自然に、日常の中へ迎え入れてくれる。そんな感じがしました。

部屋には薪ストーブがあり、壁には、これまでここを訪れた人たちが残していったものや、これまでの活動の記録が、ひとつひとつ丁寧に並んでいました。ハヤシコーポレーションで開催したイベントの切り抜きや、オトナリハウスの美唄市での活動を取り上げた特集記事の切り抜きもありました。卒業まで美唄市での活動を走り切った、尾崎さんの道のりを感じました。

「自分の居場所が欲しかった。まずは自分を幸せにしないと、と思ったんです」

インタビューで聞いた尾崎さんのこの言葉。そこから始まった5年間が、この部屋に詰まっているように見えました。

二人がかりでも勝てなかった午後

オトナリハウスでみんなで囲んだお昼ごはん
みんなで囲んだお昼ごはん

みんなでお昼ごはんを囲んだあと、森垣さんがギターを弾いてくれました。音楽と自然を愛する森垣さんは、私がリクエストしたback numberの「水平線」を歌って、私の緊張と後ろめたさをときほぐしてくれました。

オトナリハウスでギターを弾く様子
お昼ごはんのあとの、ギターの時間

参加者は、私が着いてからだけでも8人。小学生の男の子から30代まで。私が着く前にも、たくさんの人が来ていたそうです。

幸楽さんの畑でのさつまいも掘り
幸楽さんの畑で、さつまいも掘り

午後は、居酒屋「幸楽」さんの畑でさつまいも掘り。日常で土に触れる機会がないので、童心に帰りながら小学生のゆっぴ君についていき、大きないもを探し求めました。大いもを掘り当ててゆっぴ隊長に報告し、褒められたときには、今まで味わったことのない感動を覚えました。オトナリハウスに戻ると、なぜか腕相撲大会が始まりました。私とハヤシコーポレーションの樋口さん、二人がかりで森垣さんに挑んで、あっさり負けました。自然の中で暮らす人の腕は、本当にたくましいです。

土のついた手のまま笑い合って、ピパの湯で温泉へ。

マスターが準備してくれていた歌

夜は幸楽で宴会です。地域でとれた食材を使った料理はどれもおいしく、中でも卵焼きの味は、今も忘れられません。

幸楽のマスターは、町内会の会長さん。マスターという呼び名がぴったりの、声の渋いシルバーヘアーの方です。そのマスターが、尾崎さんに歌をプレゼントしてくれました。尾崎さんも、マスターが歌うところは一度も見たことがなかったそうです。この日の門出のために、準備してくれていたと聞きました。

毎日この町で尾崎さんを見てきた人が、送り出すために歌を用意してくれていた。それを知っただけで、胸がいっぱいになりました。

幸楽で尾崎さんに歌をプレゼントするマスター
尾崎さんのために歌うマスター

続いて、森垣さんの歌とギター。右手と左手でハートをつくる歌に合わせて、隣の人と手を合わせ、ハートを作りました。私の隣にいたのは、ゆっぴ君と、常連のおじさま。ゆっぴ君は、オトナリハウスの人にも、美唄の町の人にも愛される、天使のような男の子です。

はじめましての私の手を、二人とも当たり前のように受け取ってくれました。その手の温かさに、心がほろっとほぐれるような安心感を覚えました。

カラオケ大会では、誰が歌っても盛り上がって、気づけばみんなが一つになっていました。オトナリハウスに戻ってからも宴会は続き、最後はみんな倒れこむように眠りました。

窓から差し込む朝の光

目が覚めると、まだみんな眠っていました。大きな窓から、昨日より少し温かい秋の日差しが差し込んでいます。あんなににぎやかだった夜がうそのように、静かな朝でした。

片付けをしたあと、尾崎さんが作った自家製の黒豆茶を、薪ストーブで温めて飲みました。北海道の秋の肌寒さを、体の芯からほどいてくれる味でした。

朝ごはんは、鍋で炊いた新米に、森垣さんの養鶏場の新鮮な卵。前の晩に幸楽さんでパックに詰めてもらった料理と、お鍋の残りで作ったお味噌汁も並びます。

たまごかけご飯は、森垣さんに作り方を教わりました。まず白身だけをご飯に混ぜて、そのあと黄身をやわらかく溶く。ふわっと口の中でほどけて、とてもおいしかったです。自家製のニラ醤油も絶品で、贅沢な時間でした。

森垣さんの養鶏場の卵でつくった、新米のたまごかけご飯
森垣さんに教わった、たまごかけご飯

ごはんのあとは、安田侃彫刻美術館アルテピアッツァ美唄へ。カフェもある美術館で、外には庭が一面に広がっていました。その庭をゆっぴ君と駆け回り、ゾンビ撃退ごっこをしました。

涙と、いつでもおいでね

2日間、尾崎さんはずっとやさしい表情をしていました。そして、町の人たちの愛情にふれるたび、目に涙を浮かべていました。その姿を見ていて、ここは尾崎さんにとって、本当にかけがえのない場所なんだと思いました。

オトナリハウスを閉じる会なのに、しんみりした空気はありませんでした。みんなで明るく送り出す。その笑顔の奥に、いつでもおいでね、という気持ちがありました。誰もそう口にはしていないのに、周りの方々の表情や雰囲気から、はっきり伝わってきたんです。

インタビューのとき、尾崎さんは、美唄の人たちにたくさん与えてもらったと話していました。でも、町の人たちが尾崎さんに向ける顔を見ていると、思うんです。尾崎さんもきっと同じくらい、もしかしたらそれ以上に、この町の人たちに与えてきた人なんだろうな、と。

何気ない日常に根ざした、温かい場所。けれど、そこにたどり着くまでには、私には想像しきれない葛藤や困難があったはずです。ここが誰かの居場所になるように、尾崎さんが重ねてきた工夫と想い。それが、町の人たちの表情にも、参加者の温かさにも、ちゃんと表れていました。

またね、と言える縁

帰りは、みんなが駅まで見送りに来てくれました。はじめましての人ばかりで、はじめての場所だったのに。帰るころには、ずっと前から知っていたような居心地と、気持ちを預けられる安心感がありました。行く前は、自分の暮らしとは違う世界のことだと思っていた美唄とオトナリハウス。今は、自分の日常の延長線上に、ちゃんとある場所に感じます。

美唄駅のホームで見送ってくれたみなさん
美唄駅で、見送りに来てくれたみなさん

またここに来たい。そう思えた場所が、最後の日だったのは少しさみしい。それでも、いつ戻ってきても、またみんなで集まれる気がしています。

関西に戻ってからも、LINEグループに写真や動画が届くたび、あの2日間が戻ってきます。「顔大きくなった?」と笑われたので、次に会うときまでにダイエットをがんばります。

2日間を一言で言うなら、日常の延長線上にある、特別な時間でした。どの場面を切り取っても、みんなが笑っていて、心が落ち着いていて、安心感に包まれていました。

尾崎さん、5年間、本当にお疲れさまでした。そして、このような貴重な機会に招待してくれて、本当にありがとうございました。

これから始まる新しい挑戦を、ハヤシコーポレーションもこれからも応援しています。

RECRUIT

はじめましてが、いつか居場所になる

ハヤシコーポレーションは「共育(共に育む)」を大切に、人との出逢いから新しい挑戦を生み出してきました。美唄で出逢った人たちのように、縁を大切に、一緒に育っていける仲間と出会えたら嬉しいです。私たちの想いや働き方は、採用ページでもお伝えしています。

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参考:安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄

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