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福田周平×関西学院大学 特別講義「自分自身の『根』を育てる」
2026年6月7日

2026年5月15日、関西学院大学 神戸三田キャンパスで、特別講義が開かれました。テーマは「自分自身の『根』を育てる」登壇したのは、元プロ野球選手・福田周平氏、進行を務めたのはハヤシコーポレーション代表トッティ(林歳彦)、そして本講義を担当する向井光太郎教授。
今回の特別講義は、林歳彦が、向井教授とタッグを組んでやってきた外部講師としての授業に新たな風を吹かせるために、福田選手を招待する形になりました。
トッティが描いたビジョンは
「学生たちが自身の成長に投資する」機会を創ること。そのために、プロの世界で長く研鑽を積んできた人の「経験」を、そのまま学生たちに届けたいという想いです。技術論ではなく、極限の環境で培われた思考のあり方こそが、これから社会に出ていく学生たちの糧になる。宮古島キャンプを通してプロ選手と共にした時間の濃さを学生に届けたいという想いがありました。
もう一つは、福田氏のセカンドキャリアを後押ししたいという想いです。現役を退いた後、その経験をどう次のステージに活かしていくか。悩みながら歩む選手も少なくありません。「やってみよう」を口癖に、人の挑戦を全力で後押ししてきた林にとって、この講義という場を通じて福田氏の新しい一歩を支えることは、自然な選択だったのだと思います。

プロの思考に触れる90分
講義はまず、「感情」と「都合」の話から始まりました。福田氏は、自身が抱く怒りや好き嫌いの正体を掘り下げていったとき、それが「自分にとって都合が良いか悪いか」という、実はとても身勝手な基準に基づいていたことに気づいたといいます。この「自分の都合」を一歩引いて眺めること、つまりメタ認知こそが、感情をコントロールする最初の一歩になる。学生との対話の中では、他人の不機嫌に振り回されるのではなく、睡眠や食事など、自分の機嫌は自分で取るものだという話にも及びました。
嫌いな人や都合の悪い人についても、福田氏の捉え方は独特でした。「自分がそうならないための学びの対象」として、肯定的に受け止める。反面教師さえも、成長の材料にしてしまう視点です。

論破ではなく、対話を
講義の後半、リーダーシップと対話について語られた場面が特に印象的でした。福田氏はキャプテンとしての経験から、自分の「常識」を相手に押し付けるのではなく、相手の意図や背景を汲み取った上で、共通の目的のために言葉を届けることの大切さを語りました。「論破」から生まれるものは何もない、建設的な対話こそがチームを動かす。その言葉には、勝負の世界を生き抜いてきた人だからこその重みがありました。
そしてもう一つ、心に残ったのが「恥をかく勇気」についての話です。成長を止めてしまうのは、恥をかきたくないというプライドである。あえて自分をさらけ出し、恥をかきに行く姿勢こそが、新しい可能性を拓く。極限の状態では、思考を介さず体が無意識に反応する境地こそが最も力を発揮できる、その境地に至るための準備と反復こそがプロの根底にあるのだ、とも語られました。
根・幹・実の法則
福田氏が講義の締めくくりに語った「根・幹・実の法則」は、今回のテーマそのものでした。植物は根がしっかりしていなければ良い実をつけない。それと同じように、人間の思考回路という「根」が行動という「幹」を決め、その先に結果という「実」がもたらされる。だからこそ、まず自分自身の根を育てること。それが、この日福田氏が学生たちに一番伝えたかったことなのだと思います。
「したい」を「する」に変える
講義の最後、福田氏は学生たちにこう語りかけました。人生は選択の連続であり、「〜したい」という願望を「〜する」という決断に変え、能動的に動くことで運命は切り拓かれていく、と。
「共育」という言葉を大切にしている私たちにとって、こうした場でプロの経験がまっすぐ次の世代に手渡されていく様子は、とても嬉しいものです。誰かの根を育てる言葉が、また別の誰かの根を育てていく。そんな連鎖が、これからも色々な場所で生まれていくのだろうと感じています。
最後に
自分の根を、どう育てていくか。それは一度講義を聞いて終わる話ではなく、日々の選択の中で少しずつ形になっていくものなのかもしれません。この日交わされた言葉が、学生たちのこれからの歩みの中で、静かに芽吹いていくことを願っています。


