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水戸ホーリーホック×エコログ
2026年5月17日

選手が着用した試合着は産業廃棄物として処理され、サポーターが大切にしていたレプリカユニフォームは、タンスの奥に眠ったまま家庭ゴミになっていく。それが現実でした。
その現実を変えようとする動きが、今、茨城・水戸から始まろうとしています。
水戸ホーリーホック×ハヤシコーポレーション×エコログによる、繊維製品の回収循環型リサイクルプロジェクト。ユニフォームをゴミにしない。想いを、次の形へ。そのための提案が、今まさに動き出しています。
一本の縁から、プロジェクトは始まった
このプロジェクトの出発点は、林歳彦の知人からの一本の紹介でした。
派手な営業でも、大きな戦略会議でもない。人と人が繋がり、「こういうことをやっている人がいる」「一度話してみては」という、ごく自然な縁の流れ。ハヤシコーポレーションが関わることになった多くの仕事がそうであるように、この話もまた、誰かの「紹介したい」という一言から生まれました。
スポーツビジネスに着手していて、エンターテイメント×SDGsの輪を広げていくビジョンに共感が集まり
人から人へ紹介が生まれるのがハヤシの強みです。
Jリーグ自体も、サステナビリティへ大きく舵を切っている
実は、水戸ホーリーホックが今回取り組むこのプロジェクトは、決して一クラブだけの孤立した動きではありません。Jリーグ自体が、リーグ全体としてサステナビリティへの本格的な取り組みを加速させているのです。
2025年4月、Jリーグは国際的な環境評価の枠組みである「Sport Positive Leagues(スポーツポジティブリーグ、略称SPL)」への参画を決定しました。これはヨーロッパのプレミアリーグをはじめとする欧州4リーグに続く世界5番目、そしてアジアでは初めてとなる参画です。SPLは、各クラブの気候変動対策の取り組みを、スタジアムのエネルギー効率、再生可能エネルギーの利用、リサイクルや廃棄物削減、選手・ファンの移動に伴うCO2排出量、地域や選手への環境教育など、12の重要項目にわたって数値化し、順位表の形で「見える化」する仕組みです。
参照記事:アジア初となるSport Positive Leagues(SPL)参画を決定 -Jリーグ全体でサステナビリティ事業を推進-
この参画にあわせて、Jリーグは新たに「Jリーグサステナビリティ事業活動助成金制度」を創設。さらに、SPLへの参画を後押しする「Jリーグサステナビリティ事業活性化プロジェクト」も発足させました。Jリーグはすでに、2030年までにリーグ全体のCO2排出量を半減させるという目標を気候アクションロードマップに掲げており、この取り組みはその実現に向けた具体策のひとつと位置づけられています。
2025年は準備期間とされ、2026年の移行期特別大会から正式にSPLへエントリー。同年秋には初めてのスコアと順位が発表される予定で、以降はランキング上位クラブほど活動助成金を多く受け取れる仕組みも導入される計画です。
つまり、水戸ホーリーホックが今、地域から始めようとしている繊維リサイクルの取り組みは、Jリーグという大きな潮流と、まさに同じ方向を向いている。むしろ、SPLが評価軸として掲げる「リサイクルや廃棄物削減」「地域との連携」といった項目に、このプロジェクトはぴたりと当てはまるものです。一クラブの小さな挑戦が、リーグ全体の目標達成に貢献しうる——そんな構図が、すでに出来上がりつつあります。
衣類の廃棄問題は、環境問題の第2位
衣類の大量廃棄問題は、現在、世界の環境問題において第2位に位置づけられています。毎年、膨大な量の繊維製品が焼却・埋立処理され、その過程で大量のCO2と消費エネルギーが排出されています。
スポーツチームのユニフォームも、その例外ではありません。選手が着用した試合着やグッズ在庫は産業廃棄物として処理され、サポーターが手放した応援グッズは家庭の廃棄物になっていく。スタジアムで燃え上がった想いが、そのまま灰になっていく——そんな現実が、ずっと続いていました。
この仕組みを変えることができるのが、エコログが持つ「マテリアルリサイクル」の技術です。回収した繊維製品をペレット(原料)に変え、そこから再生糸・再生生地を生み出し、新たなグッズとしてファンの手元に届ける。CO2排出量と消費エネルギーを最小限に抑えながら、ものを循環させる仕組みです。
物語の主役は、全員だ
このプロジェクトが面白いのは、関わる全員が「主役」になれる設計になっていることです。
選手の使用済みユニフォームや練習着は回収され、リサイクル工場で原料化されます。同時に、ホームゲームのスタジアムでは、サポーターが持参した不要なレプリカユニフォームや応援タオル、ペットボトルなどを回収。それらも同じ工程でリサイクルされ、新しいオフィシャルグッズとして生まれ変わります。
選手のDNAが宿った素材と、サポーターが持ち寄った想いが混ざり合って、一枚のエコバッグやタオルになる。それはもう、普通のグッズではありません。買い替えが効かない、世界に一つの「物語を持ったもの」です。
楽天ゴールデンイーグルスとの取り組みでは、10日間でユニフォーム7,315枚、応援タオル15,268枚、さらに別の回収では8,958枚ものユニフォームが集まりました。数字は、ファンの関心の高さを物語っています。2年目からは「今年の回収はいつ?」とファンから球団に問い合わせが届くようになった、という話も印象的です。
参照記事:東北楽天ゴールデンイーグルスとのリサイクルプロジェクトを実施します
スタジアムの外でも、物語は続く
このプロジェクトが描く世界は、リサイクルだけにとどまりません。
ホームゲームの日に、選手・サポーター・地元市民が一緒にスタジアム周辺のゴミ拾いをする。参加者にはリサイクル品から作られた軍手が配られる。参加回数がポイント化され、地元の名所への割引券や限定グッズと交換できる仕組みも構想されています。
水戸ホーリーホックがクラブポリシーとして掲げる言葉があります。「この街のために、この街とともに。」
このプロジェクトはまさに、その言葉を行動で体現するものです。スポーツの力で地域を動かし、環境への意識を楽しく高めていく。選手も、サポーターも、市民も、企業も——誰一人置いていかない取り組みです。
林歳彦が、この仕事に向き合う理由
ハヤシコーポレーションは今回、エコログと水戸ホーリーホックをつなぐ仲介役として関わっています。地味に見えるかもしれません。でも、林がこの役割を引き受けた理由は、決してビジネス上の計算だけではありません。
林は以前から、SDGsや環境問題に本気の関心を持ち続けてきた人間です。ハヤシコーポレーションがこれまで手がけてきた看板広告やラッピング事業でも、SDGs関連の取り組みは重要な柱のひとつでした。
「やってみよう」が口癖の林にとって、環境問題は「誰かがやること」ではなく「自分たちが動くべきこと」であり、「一人一人が自分ごととして認識すること」です。知人からの紹介という小さな縁を受け取り、その縁を丁寧に繋いでゆく。その姿勢が、ハヤシコーポレーションという会社の体温そのものだと思います。
スポーツチームと地域をつなぐこと。ファンの想いを形にすること。地球にとって意味のある仕事をすること。そのすべてが重なった場所に、このプロジェクトはあります。
Jリーグ全体へ、そして世界へ
今回の取り組みは、水戸ホーリーホック一クラブで終わらせるつもりがありません。
このプロジェクトが成功すれば、Jリーグ全チームへのモデルケースとなり得ます。SDGsの目標達成に向けて、Jリーグ・チーム・茨城県・スポンサー企業のすべてにとって価値ある活動として育てていく。それが、この提案に込められたビジョンです。
国内生産にこだわることで、素材のトレーサビリティ(追跡可能性)も担保されます。「このグッズは、あの試合で使われたユニフォームから生まれた」と証明できる。その透明性が、現代の消費者や投資家、海外企業に向けた信頼の証にもなります。
■ 最後に
ユニフォームには、試合の記憶が染み込んでいます。泥と汗と、チームへの想いが。
そのユニフォームが焼却炉に消えていくのではなく、新しい形でまたスタジアムに戻ってくる。それを手にするファンが、また誰かに話す。その小さな循環が、気候変動という大きな問題と、確かに繋がっていく。
水戸から始まる、この物語。どんな形で広がっていくのか、私たちも楽しみにしながら、全力で関わっていきます。

